新型コロナウイルスの影響で「有事の円買い」が機能しなくなっている理由
最終更新日: 2020-3-18
日本円はすでに「安全通貨」ではない?
- 「有事の円買い」とは:世界経済で事故や天災・テロや戦争などの有事の際に、安全通貨である日本円を買いリスクヘッジする動き
FXトレーダーの方であれば、「有事の円買い」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。学校の「経済の授業で聞いた」という人もいるかもしれませんね。
日本円はマイナーな通貨とは違い「安全通貨」「逃避通貨」と呼ばれ、何かあった際は「まず円を買っておく」という流れが2000年ごろから投資家たちの間では当たり前のように行われています。
しかし2020年に入り新型コロナウイルスの被害が拡大し始めてから「リスクオフなのに円が売られている」という場面を何度か経験しました。
リスクオフなのに円安に動く場面が増えてきた
「有事の円買いじゃないの?」と首を傾げているトレーダーさんも少なくないのではないでしょうか?
結論から言うとすでに「有事の円買い」は機能しなくなってきています。今後、完全に機能を失うかもしれません。
これは日本円が安全通貨ではなくなることを意味します。
では、なぜ現在このように「動きが変わってきているのか?」を解説します!
「有事の円買い」が機能しない3つの理由
現在進行形で有事の円買いが機能しなくなってきている原因は、大きく分けて3つ存在します。
- 新型コロナウイルスが中国発症だということ
- 日本の実質GDP成長率が大幅マイナス→今後さらに悪化すること
- 米経済の好調と低金利下→「有事のドル買い」にシフトしていること
コロナウイルスが中国発症という要因
日本でも被害が広まっている新型コロナウイルスは、現在死者は全世界で約8,000名ほど出ています。
Cuomo wants “all states to be treated the same.” But all states aren’t the same. Some are being hit hard by the Chinese Virus, some are being hit practically not at all. New York is a very big “hotspot”, West Virginia has, thus far, zero cases. Andrew, keep politics out of it....
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) March 17, 2020
しかしトランプ大統領も「中国ウイルス(Chinese Virus)」と言っているように中国発症という要因が、日本にも大きく影響しています。
海を隔てているとはいえ、地理的な問題から隣国と見なされ、世界からは一緒くたに見られているのです。
何よりダイヤモンド・プリンセス号での日本の対応もよくなかったですね。
検査人数が少ないので日本国内はまだパニックになっていませんが、世界から見れば「中国と共に不安を拡大させた国」に他なりません。
安心・安全にかけることから「有事の円買い」の逆効果となっているのです。
GDPが5四半期ぶりのマイナス
2月17日に発表された日本の2019年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、5四半期ぶりのマイナスを記録しました。
何がまずいかと言えば次期2020年1月~3月のGDPは、新型コロナウイルスの影響でさらに悪くなることがわかっていることです。
そして2期連続マイナスが意味するものは、リセッション(景気後退)です。
こうした懸念から円は売られて、発表3日後の2月20日にドル円相場は112円の高値を更新しました。
日本円の「信頼がなくなってきているから円が売られた」という典型的な悪い円安の流れでした。
強いアメリカの復活が現実化している
2019年12月のアンケート結果ですが、CNNのアンケートに対してアメリカ国民の76%が「景気が非常に良いor良い」と答えています。これは2001年2月頃のデータと同じくらいの高水準です。
実は2000年より前までは、「有事の円買い」ではなく「有事のドル買い」と呼ばれていました。
ではなぜドルから円へ切り替わったのでしょうか?これは2001年9月11日に起きた「アメリカ同時多発テロ事件」が関係しています。
アメリカがテロの対象になったことで、安全通貨ではなくなりました。その後復興から持ち直したかに見えましたが、2008年9月にリーマンショックが起きます。
ここ20年あまり「強いアメリカ」ではなかったのです。しかしトランプ大統領になってから、NYダウ平均株価は右肩上がりで過去最高値を更新しつづけてきました。
今でこそコロナウイルスの影響で下がっていますが、年末の大統領選までに持ち直すと考えられます。
そして日本に次ぐ超低金利に相次ぐ緊急利下げと「有事のドル買い」にシフトしていると考えられます。
投資家心理に根強く残っているのも事実
前節で述べた3つの理由から「有事の円買い」は機能しなくなってきています。
しかしながら完全に機能を失った訳ではありません。投資家の心理には、ここ20年で刷り込まれた「有事の円買い」があり、今後もいきなりドルにシフトするとは考えづらいからです。
なぜ日本円は安全通貨だったのか?
- 日本は超低金利だから
- デフレが続いていて「これ以上購買力が下がりにくい」から
- テロなどの被害にあう確率が低いから
日本円が安全通貨だと思われていた要因はいくつかありますが、どれも現状危ういものばかりなのです。
政策金利で言えばECB(欧州中央銀行)が2019年9月にマイナス金利の深掘りをし、日本円だけが超低金利ではなくなっています。
デフレが続く中で新型コロナウイルスの被害が拡大し、購買力はさらに下がります。テロではないですが、すでにコロナウイルスの影響が日本経済にも出ています。
今まで安全通貨だと信じていた部分が、ことごとく崩壊してきているのです。
完全に崩壊するタイミングはいつなのか?
1つは、前節でも書いた次期GDPの発表以降のタイミングですね。
これはすでに公表日が分かっており、2020年5月18日(月)のAM8:50です。二期連続でマイナスを記録した際は、リセッションの可能性さえあります。
ただマイナス=有事の円買いの崩壊ではなく、その後の日銀の動きやドルとの関係性など総合的な判断は必要です。
2つ目はNYダウ平均株価が高水準まで戻り、日経平均が15,000円を割るタイミングです。
すでに日米株の動きは、乖離を見せています。
このままNYダウ平均は25,000ドルを超す高水準まで回復し日経平均株価は上昇しないままだと、いい加減見切りを付ける投資家が出てきます。
わざわざ円に変えて(円を買って)、日本株を買う必要がなくなってくるからです。
上記2つは単なる例えに過ぎませんが、それほど為替も重要な局面を迎えています。「有事の円買い」が機能しなくなる日は、そう遠くない未来かもしれません。
私たちトレーダーの心理でも大きく左右される
私たちFXトレーダーは、円買い・円売りどちらでも利益を出すことができます。なので大事なのは「これまでの常識が通用しない相場もある」と認識することです。
「有事の円買い」は今後、徐々に機能しなくなるはずです。あなたもここ数週間で「違和感を感じたタイミング」があったと思います。
そして自国通貨であったとしても第三者的な目で、冷静に相場を見ることが重要ですね。
ドル円は、為替相場の中でも2番目に取引量の多い通貨です。世界の認識が反映されやすい反面、一度認識が変われば大きな流れを作り出すこともあります。
そういった局面ではチャンスも多いです。今後の円・ドルの立ち位置も考えながら、トレードしてみるとまた新しい発見がありますよ(๑´ω`๑)♡
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コメント (4)
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1. AWFXclubリーダー
なるほどですね。世界の経済状況で今までの常識が変わる。こういう変化は初心者の自分には教えてもらわないと分からないですね。ありがとうございます。
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2. メイ
>AWFXclubリーダーさん
本当そうですね。結構今って歴史的な局面にいると思います! -
3. BRD
お久しぶりです。なるほど、最近値が戻してきていたのはこういうことだったのですね
102円まで落ちた時は、これはヤバイと思いましたが、今は落ちる前より高い111円間近に…
こんな値動き久々にみたので驚きました。 -
4. メイ
>BRDさん
本当そうですね…。かなり変化が起きているタイミングだと思います。大きい目で見て、2020年の為替相場は歴史に残るような動きになるかと。