アフター・コロナで注目されるMMT(現代貨幣理論)って何?為替への影響は?
最終更新日: 2020-5-25
- 財政赤字が膨らむアメリカとMMTの議論が加熱
- MMT(現代貨幣理論)とは「決して破綻することはない」という考え方
- 日本とアメリカはMMTでどう変化する?現在の立ち位置
- 日米のどちらが経済的なダメージが大きいか?
財政赤字が膨らむアメリカとMMTの議論が加熱
日本でも緊急事態宣言が解除されることとなり、徐々にアフター・コロナというワードが聞かれ始めました。
日本を含む各国が経済対策として大規模な資金を講じていますが、「このお金ってどこから来るの?」と考えたことはありませんか?
現在アメリカでは、経済対策を講じたことによって債務残高(国の借金)が過去最高の25兆ドルへ達しており「このまま財政赤字が膨らむと、国が破綻する!」と言った声が上がっています。
トランプ大統領就任から財政赤字は問題視されてきた
その一方でMMT(現代貨幣理論)を元とする「政府支出に財源の制約はない」という主張もあり、今後の経済の行方について論争が起きています。
そして、このMMTはアメリカだけでなく私たち日本にも関係している話題です。
今回はMMT(現代貨幣理論)とは何なのか?アフター・コロナの経済対策との関係性、為替相場との関係性について解説します!
MMT(現代貨幣理論)とは「決して破綻することはない」という考え方
昨年2019年にあなたもMMTという言葉を聞いたことがあるかもしれません。昨年あたりからアメリカで注目を集め、日本でも国会で議論されました。要約して解説します!
MMT(現代貨幣理論)とは?
- MMTとは:Modern Monetary Theory 現代貨幣理論の略称
- 「政府は独自通貨を発行しているので、いくら財政赤字になったとしても破綻することはない」という考え方
- 完全雇用の実現に向けた政府支出の拡大が可能である
- 政府の資金調達は税収ではなく、支出によってマネーを製造する
- インフレ(ハイパーインフレ)にならない限りは問題ない
- 米利下げが進む中で密かに政治家の支持を増やしつつある
少し極端な考え方に見えると思います。
元々は、アメリカ左派の経済学者が唱えた理論です。昨年注目を集めて論争を繰り広げていたところに世界的なコロナ禍の影響が出て、再度MMTが注目を集めています。
MMT(現代貨幣理論)のメリット
MMTを簡単に言えば「国はいくら借金(国債発行)をしても大丈夫」という考え方です。
どんどん国債を発行した資金で公共事業や経済対策などに政府支出を行うことによって、「景気が良くなる」=「GDPが増加する」と言われています。
日本でも10万円の給付金がありますが、MMTによってそれ以上に国が財政支援を行った場合は人々の消費は増えてGDPが増加しますよね?
またそれは雇用の増加にも繋がります。消費が増えてGDPが増加すれば、それほど働き口も増えます。コロナ禍対策としては、うってつけのようにも見えますね。
MMT(現代貨幣理論)のデメリット
気付いた方もいると思いますが、国がバンバン借金をして国債を発行すれば円の価値は低下します。
そうなると物価上昇=インフレとなります。MMTに反対する人々は、口をそろえて「インフレ率が毎月50%を超える」とハイパーインフレを懸念しています。
コロナ禍の最中、日本でもハイパーインフレが一部ではささやかれていますが、そうなれば急激な円安ドル高がドル円場に襲い掛かります。
日本とアメリカはMMTでどう変化する?現在の立ち位置
MMTについての要約を見て「アレ?今もそうじゃないの?」と思った方もいると思います。
その通りです。「日本政府が国債を発行し、日本銀行が買い続ける」というシステムは、アベノミクスの延長線上であり、コロナ禍の現在まで日本銀行が行っている政策です。
これがMMTに乗っ取って行われているかは別問題ですが、打ち出の小槌式でバラマキ政策をしているのは同じです。将来的に借金が膨らみ続ければ、アルゼンチンやギリシャのように日本もデフォルト(債務不履行)になる可能性はあります。
日本のインフレ率は年+2%も未達
一方で、日本銀行は2013年のアベノミクス初期からインフレ目標を年+2%と定めていますが、2020年の現在も安定的に年+2%には達していません。
ハイパーインフレと呼ばれるのは、月+50%ほどの急激なインフレです。今までの歴史を見ても敗戦や革命など、先進国で起こっていることがほとんどですね。
ただこれからはコロナ禍によって、インフレになる可能性は高いです。
- コロナ禍によるリセッション(経済後退)入り
- 海外からのインバウンド消費の低下
- 2021年 東京五輪の中止の可能性
- 少子高齢化
アメリカや日本のように現在もMMTのような政策をとっている国は、今後インフレ・通貨安に見舞われる可能性はあります。
ただでさえ日本も無制限という青天井な訳ですから、MMTの考え方が日本でも進めばジワジワとインフレ・円安は進んでいきます。
アメリカ最年少女性下院議員が話題に
またアメリカでは、アメリカ最年少女性下院議員の民主党アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏がMMT論者としても話題を集めています。
財源は税金ではない? コロナ危機で崩れる「財政赤字」の神話 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
トランプ大統領は、特にMMTへの言及はないものの経済対策やFRBの利下げ要求を見ていると同じ思想のようにも見てとれますね。
そんな中でもFRBパウエル議長は繰り返しMMTを批判しており、昨年の議会証言では「財政赤字は、自国通貨で借入を行える国にとっては問題ではない等という考えが正しいとは思わない」と述べています。
日米ともに「MMTが全て正しい」という理論には達していないものの、コロナ禍の今はMMTに同調するような政策に頼らざるを得ないのです。
日米のどちらが経済的なダメージが大きいか?
逆に言えば、EU加盟国のような自国で通貨を発行できない国ではMMTが無効です。
現にEU加盟国であるギリシャはデフォルトしました。そしてコロナ禍の影響を受けて、つい先日アルゼンチンも9度目のデフォルトを発表しました。
新型コロナ:アルゼンチン、9度目の債務不履行 再編交渉は継続:日本経済新聞
日本も他人事ではない
アフター・コロナの経済対策として、アメリカのようにMMTの思想に近い大規模な経済対策を講じた方が良いのか?日本のように耐え忍んで、最低限の対策が良いのか?こればかりは、数年後にならないとわかりません。
しかしながら、日本はインフレの逆であるデフレ(物価低下)がずっと問題視されています。
「インフレにならないからいいのでは?」と思うかもしれませんが、モノの値段が継続的に下がるデフレでは「もう少し安くなるまで待とう」という心理が働き人々の消費は低下します。
現に10万円の給付があっても「積極的に消費をしよう」と考えられる人は、極めて少ないのではないでしょうか?
このコロナ禍第1波が与えた為替への影響は今後の相場にも重くのしかかり、各国の判断はこれからの通貨安・物価変動にも影響してくるのです。
アフター・コロナの動向に要注意
コロナ禍の最中は人命が一番重視されましたが、日本でも緊急事態宣言が開けた以降は経済に対してもっと注目が集まります。
感染症との闘いが「まだ始まったばかり」であることと同じように、この数か月の遅れを経済が取り返すのもこれからです。
今はMMTがどのような理論で、日米がどのようなスタンスなのかを理解する程度で良いです!きっとアフター・コロナのドル円相場で役立つ時がくるはずですよ(✻´ν`✻)
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コメント (3)
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1. AWFXclubリーダー#おじさん
MMTの解説ありがとうございます。全く知りませんでした。なんとなくですが、ドルは世界の基軸通貨ですが、円はそこまでではないのならアメリカのようなMMTの考え方は危険な感じがします。FX的には関係ないかもですが、日本は国家として世界に信頼される国であって欲しいですよね。
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2. 匿名
勉強になりました!
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3. メイ
>AWFXclubリーダー#おじさん
私もどちらかと言えばハト派な考え方ですね。ただ今のような状況であれば、致し方ないとも思います。難しいですけど、こういった考えが広まっているという認識を持ってもらいたくて書きました!
>匿名さん
はい!