アメリカによる韓国の「為替操作国」指定って何?指定されたらどうなるのかとその影響を解説します
最終更新日: 2018-3-20
韓国が「為替操作国」指定されるかもしれない
今日は韓国の為替に関するニュースについて解説します。「ドル円に関係ないなら知らなくていいかな」と思ったあなた。しっかりとドルに関係する話ですよ!
韓国政府は、ウォンの相場を安定させるため外国為替市場でドルを売買した内訳を公開することを検討しています。
これはアメリカによる「為替操作国」の指定を避けるためです。
そもそも為替操作国って何?
為替操作国といきなり聞いてもピンと来ない人もいると思います。
為替操作国とは、米議会が米財務省からの報告書に基づいて「為替相場を不当に操作していると認定された国」のことをいいます。
これを聞いて少し違和感がある方もいると思います。「アメリカが一方的に決めてるのでは?」と感じてしまう人もいますよね。
為替操作国に指定されるのは、3つの条件があります。
- 対米商品収支黒字200億ドル超過
- 国内総生産(GDP)比3%を超える経常収支黒字
- GDP比2%を超える外国為替市場でのドル買い越し
この3つに当てはまると為替操作国として指定されます。3つ全てに当てはまらない場合でも、観察対象国としてアメリカから監視されることになります。
過去1980年代~1990年代にかけては、中国・台湾・韓国が為替操作国に認定された過去があります。1994年以降から現在までは為替操作国に認定されている国はありません。韓国は現在、観察対象国になっています。
為替操作国に指定されるとどうなるの?
では、アメリカによって為替操作国に指定されたらどうなるのでしょうか?
- アメリカとの二国間協議が行われ、通貨の切り上げを要求される
- アメリカは必要に応じて関税による制裁を行う
主にこの2つが行われます。
通貨の切り上げと聞くと、人民元を想像する方が多いと思います。過去人民元は何度も為替レートが切り上げられたり、切り下げられたりしてきましたね(´×ω×`)
過去に私のブログでも取り上げたことがあります↓
ここでは切り上げなので、もし韓国が指定されれば「ウォンの価値を高める」ということになります。
そして関税については、つい最近話題になったニュースがありますね( ・`ω・´)キリッ
トランプ大統領の鉄鋼への25%関税で韓国が大打撃を受ける
3月8日にトランプ大統領が署名した「輸入産鉄鋼25%、アルミニウム10%」の関税です。署名日から15日後に発効するので、今週から効果を発揮します。
この署名からは、カナダとメキシコは除外されています。NAFTAの交渉があるからですね。(NAFTAでも同じだけの関税になる可能性はありますが)
実は韓国の鉄鋼輸出量は、カナダ・ブラジルに次いで3番目に多いんです。そもそもこの関税の一番の狙いは、中国の鉄鋼が韓国を迂回して輸入されるルートを潰すことでした。
洗濯機・太陽光パネルへのセーフガードと共に連続打撃
さらに韓国は1月の米トランプ政権による洗濯機・太陽光パネルに対するセーフガード(緊急輸入制限措置)でもダメージを受けています。
まだ為替操作国として指定された訳ではないのに、韓国はこれで1月と3月に連続して大打撃を受けたことになります。
韓国に交渉の余地はないのか?
交渉するための「外国為替市場でドルを売買した内訳を公開」とも取れますが、韓国が為替通貨国として指定されそうになったのは今回が初めてではありません。
昨年2017年も何度か話題になっていました。前回昨年10月に財務省が提出した報告書では、為替操作国の指定からは逃れた韓国ですがその制裁に近い形で行われたのが洗濯機へのセーフガードでした。
交渉があるとすれば23日の発効までの期間だと思いますが、アメリカは「中国の鉄鋼を輸出している主犯格は韓国だ」と見ているため難しそうですね(´×ω×`)
韓国の「為替操作国」指定についてまとめ
もちろん関税は日本にも関わってくることなので、他人事ではありません。
また韓国経済研究院は「米利上げ時、韓国に通貨危機の可能性がある」と報告書でまとめています。
今回の利上げは織り込み済みなので、年内に更なる利上げがありウォン安ドル高が進んだ場合ということですね。
その辺りも明日のFOMC(連邦公開市場委員会)で「利上げスピードや利上げ回数」のヒントが出れば見えてくると思います。
間接的にもドル円の動きに関わってくる内容ですので、韓国ウォンの動きにも警戒するようにしましょう(๑´ω`๑)♡